ブログ形式で歴史・歴史関連の話題を紹介致します。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

江戸三大奇書②阿奈遠加志(あなおかし)全2巻

こんにちは。今週分2回目の幽翠街道です。

今回からは江戸三大奇書の3著作を個別に紹介していきます。
まずは「阿奈遠加志(あなおかし)全2巻」から。

●著者・沢田名垂(なたり)について●
阿奈遠加志(あなおかし)の著者は沢田名垂(なたり)。安永四年(1775)生まれ。弘化二年(1845)71歳で没。会津藩に仕えた国学者。『新編会津風土記』の編者として知られています。
大変優秀な国学者で、藩命により『新編会津風土記』を編纂、会津藩の藩学日新館の和学師範を命ぜられ、「日新館童子訓」を著して、藩学の学規を整備しました。近習として仕え、藩主の侍講を勤め上げるほど信頼が厚かったようです。
また、水戸の弘道館設立の際、水戸家が会津藩に対し諮問した時、会津藩から水戸家に「和学仕方意見書」を示したのですが、これは藩主からの命により、文政二年(1819)に沢田名垂が書いたものだそうです。

●テキストについて●
沢田名垂は数々の名著を残したそうですが、大抵のものは戊辰戦争の時に焼失し、版本のない「阿奈遠加志(あなおかし)」の自筆草稿もその中に含まれていました。そのため現在は会津本と沢田本の写本だけで伝えられています。
成立年代ははっきりしないそうですが、全巻の脱稿は文政五年(1822)と推測される奥書があります。

●阿奈遠加志(あなおかし)について●
秘本ですから、当然本来の著者名を伏せて、作者自ら「花園の狂女」と仮託し、子供達が自分を指さして「あなおかし」と言ったところから、本書の書名を「阿奈遠加志(あなおかし)」としました。

本書は和歌と物語が絶妙に融合した歌物語集で、著者の和歌の造詣の深さが味わえるものになっています。
ウイットに富み、軽妙なユーモアと気品を備えた物語が多いのですが、
その中でも、人間性の矛盾をついて、飾らない人生の本質に迫った物語を一つご紹介します。

「兵衛尉某(ひょうえのじょうなにがし)」

 兵衛尉某という人は、もともと戦功の多い由緒ある武士でしたが、戦国乱世の常で、今は浪々の身となった失業武士。最近では連れ添った妻と幼児、老母を連れて、遠い田舎に隠棲していました。毎日の暮らしにも事欠く日々に、「このように貧しく落ちぶれて、また子供が増えたら、この上どんな憂き目に遭うか。今からは夫婦の交わりを断ち、母を養い、この子を育てよう。」と夫婦で固く誓いました。

 こうして、その年も暮れて、春になりましたが、家族の着る物さえ満足なものはなく、使い古した夜具を解いて着物にするほどでした。胸のふさがる事ばかりで、
  今しはた見るも寒しや諸声(もろごえ)に 泣きし昔を忍ぶ衾(ふすま)は
と、妻は哀れに泣きながら言いました。

 夏になっても、薄物の単衣さえない有様。男は夜通し蚊遣りを焚くのが役目で、おちおち眠ることができません。来し方行く末を思いながら、うとうとしていると、蚊遣りが急に燃え上がり、びっくりして消そうとしました。燃え上がった音に怯えたのか、子供が妻の着物を掴んだまま寝返りを打ちました。
 すると、引っ張られた着物がはだけ、膝を立てて仰向けに熟睡していた妻の肢体が露わになり、何とも言えない局所が残るところ無く眺められてしまいました。まだ三十歳前の男が一年余りの禁欲生活をしていたのだから、この艶めかしい光景は男の欲望に強烈な刺激を与えました。
 しかし、堅い約束をした仲なので、妻が許してくれる事はまずありません。
 つまるところ目が覚めなければ良いのだと、ひとり男は合点し、熟睡している妻に交わってしまいますが、口惜しいことに、まだ始めたばかりなのに果ててしまいました。

 やがて冬が訪れ、男が狩りから戻ると、子供が門口に迎い出て、母がいないとひどく泣いていました。
 家に入ると、老母が手紙らしいものを投げ出しました。中を開いてみると、妻の長く続く体調不良と身に覚えのない妊娠を告げる内容でした。男は妻の妊娠に全く気づいていなかったのです。あの夏の出来事を知らない妻は、原因不明の妊娠を恥じ、居たたまれず、この世にお暇をしようと家出してしまったのです。
  いつの世に晴れなば晴れむ父もなき 子ゆゑに迷ふ母の闇路は
  (父のないままできた子の故に、迷う母の闇路はいつになったら晴れるのやら)

 責任を感じて男は茫然自失し、そして気が狂ったように血眼になって、家出をした妻のあとを追って行きました。


この話は全巻の最後に置かれた小咄で、この物語に対し著者はシリアスなコメントを添えています。
それは、一瞬のむなしい満足のために、長く一生の悔いを残した淫欲を戒めているもので、全ての人はこういう淫欲には最も気をつけなさい、と最後を締めくくっています。
この話は、著者の性欲観が記された物語で、本書の面白さと価値を充分に高めた作品でもあります。


さて、次回は江戸三大奇書の2作目、どちらかにするかまだ未定ですが、他の担当者の方々と一巡した後、また紹介させて頂こうかと思います。
大長文なのに、お付き合い頂きありがとうございました。



スポンサーサイト

江戸三大奇書①はじめに

今週分担当の幽翠街道です。
11月の半ばになり、寒風も吹いて来たこの頃、いかがお過ごしですか?

今週は、江戸時代に書かれた秘本(ひほん)というものを語ってみたいと思います。

秘本というのは、他人に見せずに秘かにこっそり読む春本のことです。つまり独りで愉しむ18禁的な本。
そういう秘本の内容は、好色的な滑稽さを笑う小咄集だったり、
主人公の男女が組んず解れつの情交場面をひたすら書き表す艶話(つやばなし)だったりします。

特に前者のような、ユーモアあるエロチックな滑稽話を書いた文章作品を艶笑(えんしょう)文学というそうです。
平和が続き、民衆文化が栄えた時代では、艶笑文学が数多く作られる傾向があるようで、
数多く作られるということは、高レベルの出版文化、庶民の識字率の高さも伺い知ることができると思います。

戦国の世が終結し、江戸時代に入って太平の世が始まると、艶笑文学作品は目立って現れるようになります。
その数が多い分、もちろん愚劣で下らない駄作も多かったそうですが、逆に文学作品として優れたものも相当あったそうです。

これから取り上げる「江戸三大奇書」はその艶笑文学の中でも、特に優れた3著作を指しています。

著作者の生誕順で紹介しますと、

『逸著聞集(いつちょもんしゅう)』
『阿奈遠加志(あなおかし)』
『藐姑射秘言(はこやのひめごと)』


で、この3著作を、いつ、誰が、何を基準に選定し“江戸三大”としたのかは不明だそうですが、
“江戸”と冠する以上、明治初期あたりではないかと推測されています。

他にも優れた艶笑文学作品が多数あるのに、何故これらが特別に選ばれたのでしょうか。
この3著作の共通点は、有名な国学者の筆によって書き記された戯著であること。
そして、万葉集や今昔物語などの上代文学、伊勢物語や源氏物語、義経記や平家物語などの軍記物にも精通していなければ、書くことができない話が多いこと。
いずれも純国文で書かれた秘本で、それが名だたる国学者の作であることから、文学的にも歴史的にも貴重な遺産と言えるでしょう。

これから個別に紹介していきたいのですが、長くなるので、ひとまずカットして、
そうですね……次回は『阿奈遠加志(あなおかし)』を紹介したいと思います。

今週中に投稿できたら良いなぁと思ってます。



古典の日

こんにちは、竹河せりかです。

去る11月1日は、「犬の日」「紅茶の日」「泡盛の日」…などと共に
『古典の日』でもありました。

『古典の日』とは、2008(平成20)年に“源氏物語千年記委員会”によって
制定された記念日(ごく最近の事なので、知らない方が多いと思います)です。

なぜ11月1日か・・・「紫式部日記」1008(寛弘5)年11月1日の部分に、
「源氏物語」の登場人物に関する記述がある=これが、源氏物語の存在が
記された最初の記録・・との事から、決められたようです。

この、寛弘5年11月1日というのは、藤原道長の娘・中宮彰子
(竹河のマイラヴァーv)が産んだ、敦成親王の五十日(いか)の祝いの日。
貴族達はこぞって宮中に参内し、彰子の女房である紫式部も、
当然、その場に控えておりました。

『紫式部日記』原文では・・・

御五十(いか)日は霜月のついたちの日
~~(中略)~~

左右衛門の督(かみ)、
「あなかしこ、このあたりに、若紫やさぶらふ」
と、うかがひたまふ。源氏に似るべき人も見えたまはぬに、
かの上は、まいていかでものしたまはんと、聞きゐたり


~~(略)~~

<意訳>

御五十日(のお祝い)は11月1日でした
~~(中略)~~

左右衛門の督(かみ)(藤原公任)が
「おそれいりますが、この辺りに、若紫はおられませんか」
と、聞いていらっしゃいました。
光源氏に似ている人もお見えにならないのに、まして、
あの紫の上がいらっしゃるだろうか・・・と(私=紫式部は)、
聞き流していた。


・・・知ってて、しらんぷりする紫式部が、ちょっとイケズな感じです。
この左右衛門の督=藤原公任は、この当時、
秀才として名を馳せていた貴族でした。


紫式部像

写真は、石山寺の紫式部像。
石山寺の堂内「源氏の間」は、
紫式部が『源氏物語』を執筆した場所と云われています。

『天翔の龍馬』

 こんにちは、今週分担当の上水流 暁(かみずる あきら)です。
 この話があってから約2週間書くネタを考えていましたが、全くネタが思い浮ばないまま本日に至っております。
なので、今ブログを書き始めてふと頭に浮かんだことを書いていこうと思っています。

 最近、歴女ブームのおかげなのか分かりませんが、歴史を題材とする漫画が沢山発売されています。私は歴史を題材とする漫画や小説を読むのはとても大好きなので、移動中の電車の中で何もすることがない時にそういう漫画や小説を本屋で購入して読んだりします。

 つい最近購入した漫画が『天翔の龍馬』1~4巻(原作:梅村 真也氏, 漫画:橋本 エイジ氏)です。

 慶応3年11月15日近江屋事件で坂本龍馬が死んでいなかったとしたら、どうなっていたかと言う「たら」「れば」漫画なのですが、1巻を読んだ時に歴史上の事実を織り交ぜながら展開していくストーリーが面白くあっと言う間に4巻まで読みきってしまいました。
 『コミックバンチ』という雑誌がなくなってしまい、2010年11月9日に発売する5巻で1区切りはつくような形にはなりますが、早く再連載して欲しいです。「幕末」「新撰組」「坂本龍馬」と言うキーワードのどれか1つ好きなら、読んでみて欲しい作品だと思います。

 ちなみに、『コミックバンチ』の後継になった『月刊 コミックゼノン』では同作者が「新撰組」の土方歳三氏を主人公の漫画の連載が始まったので、『天翔の龍馬』の続きを読めないは寂しいですが、永倉新八氏が語る「新撰組」や土方歳三氏の漫画という事なのでこちらの方もとても期待しています。

天翔の龍馬 1
プロフィール

webfrontier

Author:webfrontier
 歴史サークル合同企画改め歴史部 In COMITIA100
歴史部 In COMITIA100

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。